先生、恋愛を教えて。
2.人を魅了する音



その1週間後の日曜日にお免状式が執り行われた。

この日は雲一つない快晴で、まるでわたしたちを祝福してくれているかのようだった。


「美菜ちゃん、おめでとう。着物もとてもきれいね」


同じ教室にずっと通っている名取の資格を持つお弟子さんに声をかけられた。

すでに名取の資格を持つお弟子さんの中から数名が選ばれ、彼女のようにお免状式のお手伝いとしてやってきたのだ。


「美菜ちゃんは、お名前に“愛”っていう字を頂いたんでしょう?とても美菜ちゃんに合ってるわね」

「ありがとうございます」


そう、わたしは名取の資格を取った際に、先生からお名前を頂いたのだ。

これから演奏会などのパンプレットにはその名前で載ることになる。


「相変わらず琉生先生はかっこいいわね。今日もびしっと着物できめちゃって」

「そうですね」


これはお世辞抜きで、本当にかっこいいと思った。

普段の先輩も素敵なことには変わらないけれど、わたしは着物姿の先輩に一段と魅力を感じる。

たぶん、わたしが先輩に恋に落ちた瞬間も演奏会で先輩が着物を着て演奏した姿を見た時だ。




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