千早くんは、容赦が無い
 恋愛下手な私に、いつも容赦なく「好き」とか「かわいい」とか言ってくれた千早くん。

 でも、もう永遠にそんな場面は訪れないんだね。

 目の前の雑草が、滲んで見えてくる。

 拭いたはずの涙がまた溢れ出てきてしまった。

「千早、くん……」

 思わず涙声で、彼の名前を呼んでしまう。

 ――すると。

「呼んだ?」

 頭上から、穏やかでさわやかな声が聞こえてきた。

 驚いて顔を上げると、そこには――。

「えっ……」

 千早くんが緩く微笑んで、立っていたのだった。

「亜澄、いきなり走っていなくなるからびっくりしたわー。なんとなくここにいると思って来たらマジでいるから、笑える」

 いつもの調子で千早くんは言うけど、焦った私はあわあわしてしまう。

 亜澄が「ちぇりー」じゃないなら別れようって、はっきり私に言いに来たのかな……。

 なんて最悪の想像が思いついて、私はこの場から逃げたくなってしまう。

 ――だけど。

「雑草抜いてたの?」

「……うん」

「じゃ、俺もやるわー」

 気安い口調でそう言って、私の隣で雑草を抜き始める千早くん。

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