幼なじみじゃ、いられない。


ガチャンッと、さっき通ってきた玄関の先で音がして、ビニール袋の音と近づいて来る足音。

『もしかして』と思った数秒後には、リビングの扉が開いて──。


「湿布買ってきたけど、ばあちゃん調子ど……」


入ってきた人の言いかけた言葉は、あたしを見るなり途切れた。


「は、なんで……」


その場に立ち尽くすように驚くのは、スウェットパーカーの大地くん。


「あ、えっと」


あたしは恥ずかしさと気まずさに、思わず目を逸らす。すると、


「先生に頼まれ物をして、わざわざ来てくれたんだよ」


あたしを助けるように言ってくれたのは、大地くんのおばあちゃん。


「いちごをね、お土産にあげようとしたら、また腰を痛めちゃって。ここまで連れて入ってくれたんだよ」


「お茶も淹れてもらっちゃったぁ」と、おばあちゃんが綻ぶように笑うと、大地くんは呆れたように「はぁ」と、ため息をついた。

そして、リビングのテーブルにビニール袋を置くと、無言のままキッチンの方へ。
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