幼なじみじゃ、いられない。


楽しくて嬉しかったのは、あたしの方……。


りっくんとバイバイして、家に向かってゆっくりと歩きながら、ぼんやりと考える。


家まで送ると言われたけど、りっくんと一緒のところを家族に見られたら、からかわれるのは間違いないし、5分もかからない距離だからと断った。

だけど、ほんの少しだけ後悔してる。


りっくんの隣は居心地が良くて、もう少し一緒に居たかったなぁ……なんて。


今日のことを改めて思い出せば、顔が綻ぶ。

楽しくて、嬉しくて、今日はとても幸せな1日で。


同時に脳裏には、今日偶然目にした人の姿が浮かぶけど……。


大丈夫。気にしてなんかない。

ちゃんと綺麗に忘れる。


──ううん、あたしはもう既に、りっくんのことが好きかもしれない。


言い聞かせるんじゃなくて、本当に。

心の底からそう思った……のに、


「っ……」


顔を上げて、前を向いた瞬間。

あたしの目に飛び込んできた人の姿に、息を飲む。
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