幼なじみじゃ、いられない。


「藤沢くん、おはよう!」

「また同じクラスだね!」


次の瞬間には、大地くんを取り囲む女子達の声。

相変わらず凄いな……なんて思いながら、あたしはそのまま椅子に座った。


どうしてこのタイミングで同じクラスになっちゃうんだろう。

しかも、出席番号が前後とか……。


自然とギュッと手に力が入る。


大地くんと会うのは、あたしの誕生日だった“あの日”以来。

“あれ”以来、あたしはずっと大地くんに会わないように、必死に彼を避けて過ごしていた。


“あれ”は、きっと何かの間違い。

もう二度と顔を合わさなければ、忘れられる。


流した涙と一緒に、全部なかったことにすると決めた。

それなのに──。


「藤沢くんは春休み何してたの?」

「ねえねえ、今日の放課後遊ぼうよ」


どんどん近くなる女子達の声。

大地くんの声はしないけど、必死に話かける女子達の声で、こっちに向かって来ていることは分かる。そして、


ドサッとすぐ後ろで荷物を置く音がして。


大地くんが後ろにいる、それだけでドクンドクンとあたしの鼓動は大きくなる。
< 73 / 142 >

この作品をシェア

pagetop