幼なじみじゃ、いられない。

何で大地くんと一緒のクラスなんだろう。

全部なかったことにするって決めたけど、本人を目の前にして忘れられるほど、あたしは強い人間じゃない。


正直、今も動揺してる。


振り向いたらすぐ後ろにいる、この距離が苦しくて……って、あれ?なんか身体が変かも。


──そう思った次の瞬間だった。


急に目の前が真っ白になって、力が抜けて、あたしは膝から崩れ落ちる。


だめっ……。


前のめりになる身体に、『倒れる』と思った。

だけど、


「っ……」


誰かがあたしのお腹に腕を回し、ギリギリのところで抱き止めた。


フワッと香る甘い匂いに覚えがある。


「あぶねっ」


あたしだけに聞こえるくらい、小さく呟いたその声にも。



──大地くん?



ぼんやりと霞む視界。


あたしは抱き止めてくれた人の顔を確認する前に、意識を失った──。

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