地獄で待ってて
「寒過ぎてときどき指とかそういう部位が取れるみたい」
「ほらここ凍傷で体ボロボロになるからさ」
「そっか、わっ」
吹雪が私と彼女の間を通っていく。
彼女が一瞬だけ目の前から居なくなる。
「大丈夫?」
だけどそれは一瞬でまたすぐに吹雪の中から彼女が姿を現す。
「どう?寒いでしょ」
「寒いけど、真冬のプールとかお風呂よりは冷たくない」
吹雪が私の腫れた腕を冷やす。
「…… 一応、聞くんだけどさ」
彼女の体がこちらに向く。
「怖い?」
「…… ここは…… ちょっと怖い」
寒さで回りにくい口を無理矢理動かす。
「本当に?」
「今度はちゃんと怖い」
「どうして?」
「君の姿がたまに見えなくなるから」
瞬間沈黙が訪れる。
「…… 地獄ってさ」
そして、彼女が沈黙を破る。