敏腕パイロットは契約妻を一途に愛しすぎている
「――もともと女癖の悪い人だとは思っていたんだよね。付き合っていたときから私以外の女の子とも距離感すごく近かったし。気付かなかっただけであの頃から浮気していたんだろうなぁ」
元夫との出会いから結婚、そして離婚までを一通り話し終えた私は最後にそう付け足した。
ひと言も発することなく私の話を聞いていた匡くんが椅子の背もたれに背中を預けて腕を組む。
「女癖が悪いと知っていて、どうしてそんなクズと結婚したんだ」
「クズって……匡くん毒舌」
苦笑を漏らす私に、匡くんははっきりと告げる。
「本命の彼女がいながら別の女に目移りするような男はクズだろ」
「まぁ、うん、たしかにね」
その意見には同意だけれど……。
「それでも、好きだったから」
つまるところ、結婚した理由なんてそれしかない。
プロポーズの言葉もなかったし、結婚式も挙げなかったし、結婚指輪もなかったけれど。当時の私は和磨のことが好きで、彼の夢も自分の夢と同じくらいに応援してあげたかった。
だから、テレビを見ながら何気なく言われた『結婚しよっか』という彼の言葉に舞い上がり、すぐに了承の返事をした。
それなのにまさかこうもあっさりと裏切られて、捨てられるとは思わなかった。