孤独と孤高にサヨナラを
彼の本質なんて気にしてる余裕は、時間がたつごとになくなっていく。
コイツ本当に将棋が上手い。

こんなの防戦一方じゃない!

でも昔と指し方は同じ。
練度も読み合いも今の方が高いけど戦い方は昔と同じ。
盤面にはあの時の彼がここにいる。

何度も研究した戦法。
なのに、突破口が全然見えない。


「…飲み物買ってくるわ」


私は考えるためにそういうと立ち上がり、対局室を離れて自販機のある広い部屋に行く。
自販機にお金を入れ、アイスココアを買う。

頭を冷やすためにも丁度いいし、今の私には糖分も必要だ。

さてどうすれば突破できる?
自販機の隣にある一人がけのソファに座り、アイスココアを飲みながら考える。
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