孤独と孤高にサヨナラを
「あら、声はだせるのね」
「…」


まさか俺の声を聴くためだけの悪手なのか?
だったらコイツ、相当馬鹿だ。
早いとこ終わらせてやろう。
お前がふざけてうったこの一手を俺は利用する。

というかコイツは危機感がないのか?
これはただの遊びじゃない。
仕事なんだ。
それを理解してうってるのか?

男だろうが、女だろうが関係ない。

ここに座って、挨拶をすればそれはもうプロの対局なんだ。
それをコイツは分かってない。
今まで俺の前に座った人は最後まであがいた。
いろんな手をうってきた。
なのになぜ、お前はそれをしないんだ。

そう思い始めて盤面から顔をあげる。

顔上げて、彼女の顔を認識したとき、俺は驚きから目が見開く。



こいつ、笑ってる?
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