八千代くんのものになるまで、15秒


「それ、真田の前で言っていいの?」
「いいの。梢には言っちゃったもん」

「はは、言っちゃったんだ」



クスクス、可笑そうに笑う。
うう……やっぱり私、梓希くんの笑った顔が好きだな。

って、違う違う、そうじゃなくて……



「あの、梓希くんばっかりズルいので、」
「うん」

「だから、これから私のこと"倉木"って呼んだら、私も梓希くんにキスすることにしたから」



これでおあいこでしょ?
あわよくば、梓希くんの焦った顔も見れるかもしれないしっ。

そんな意味も込めて「どう?」と聞くと、なぜか意地悪な顔でニヤリと笑われた。



「わかった、いいよ」
「ほんと?」

「うん。その代わり、自分の言った台詞、忘れないでね」





< 181 / 279 >

この作品をシェア

pagetop