八千代くんのものになるまで、15秒
今日は梓希くんの記念すべき誕生日。
放課後に映画を観に行こうって、今日チケットを渡した。
梓希くんが見ている予告動画は、これから観に行く映画のもの。
上映時間まで教室でのんびり過ごそうという話になって、こうしてここで2人でいる。
「……ちゃんとプレゼントも用意したもん」
「そうなの?ありがとう」
「あとであげるね。それとも今がいい?」
「今ほしい」
心なしか目を輝かせている梓希くん。
スマホから流れてた動画をすぐに消して、ニコニコ、顔を綻ばせながら私のことを見てる。
か、かわいい……
「喜んでもらえるか分からないけど……」
トートバッグの中からお店でラッピングしてもらった袋を取り出す。