八千代くんのものになるまで、15秒
それに、文化祭に向けて宣材写真とかも撮るみたいだし!
格好いい梓希くんが見れるんだから、私としてもお得だよっ。
そう続けると、梓希くんはすっと目を細めた。
「そう……」って、それだけ呟いて階段を降りていく。
「梓希くん?」
慌てて階段を駆け下り、職員室へと続く廊下を歩く彼の顔を覗きこんだ。
なんだか少し暗い表情をしていたと思ったんだけれど、私と目があった梓希くんはいつものように笑いかけてくれて。
私の思い違いだったかな……?
なんて、肩の力を抜いた時。
「──っ、わ……!?」
背中が教室の扉に押し付けられたせいで、ガタッと大きな音が鳴った。
梓希くんに引っ張られた腕は、未だに彼に掴まれたまま。