八千代くんのものになるまで、15秒
目の前にいる梓希くんの怪しげなオーラに圧倒されたせいで、
他クラスの教室に連れ込まれたことに数秒遅れて気がついた。
「え、と……」
これは一体……?
「蓮」
「は、はいっ」
片手で私の肩を扉に押し付けながら、梓希くんは続けた。
「……俺は、蓮が出ろって言うならそうするよ。」
「うん……?」
「その代わり、」
掴んだままの腕を自分の首元へと持っていき、彼はゆるりと妖しく笑う。
「つけて。俺は蓮のっていう印」
梓希くんの言葉を頭の中で何度も繰り返す。
私のっていう印……って……
ある一つの答えにたどり着き、私は自分の頬が熱くなってくるのを感じた。
「なっ、んで、梓希くんっていつもそう……っ」