【改稿前】魔法少女の光
人混みを掻き分けて、前を少し小走りで行くと、ボサボサした講武所風の髪型をした武士が居た。

「全く…ん?お嬢ちゃん、居場所が無いのか?」
「え、あ、え、ななな、無いです…。」

あまりにも緊張し過ぎた為、おどおどしながら返事を返してしまった。
すると、その武士はにっこりと薄く微笑んで、「それなら、儂の所へ行くぜよ」と言った。

まさか、あの例の寺田屋なのだろうか?
そう疑問を浮かべながら、僕は侍の右手を握り、歩くが────

「ぐっ!!」

先程の戦いの為だろうか、それとも今回はやる気を出し過ぎて、荷を重くしてしまったのだろうか。
意識がどんどんと朦朧としていく。

その武士は何か異変に気付いたのか、「大丈夫か!?」と心配して、僕の体を横抱きした。

「あ、りがと…」

僕はありがとうの「う」を最後まで言い切れず、そして意識を失ってしまった。
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