憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました~ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる~
『部長か…』


『…はい』


『そうだな、僕もみんながいる時は優木さんと呼ぶしかない。だけど、2人の時は千隼でいい』


2人の時…


2人だけの、2人きりの時。


そのワードを勝手に深読みして、ちょっとドキドキした。


2人きりといっても、それは特別な意味じゃないのに。


『ありがとうございます。私もその方が呼びやすいです。千隼先生は、私の中ではやっぱり千隼先生ですから』


『いつまでも君にとっては、僕は家庭教師のままなんだな。2人とも、会えなくなって、あの時から時が止まってしまってる。でも…これからはちゃんと…時間を進めよう』


『は、はい。そうですよね。いつまでも15歳と20歳じゃないですもんね』


『その頃の思い出とこれからの未来。どちらも…大切だ。でも…』


先生は言葉を止めた。


どうしたのかな?


『大丈夫…ですか?』


『ああ、すまない、大丈夫だから。そういえばこの前からいろんな人に里桜ちゃんの家庭教師だったんですか?って質問攻めだ』
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