「つけてるだけで音楽は流してないから。それより私のこと探してたの?」
体を起こして乱れた髪を手ぐしで整えながら尋ねる。
「はい。優希麗愛さんですよね?」
やっぱり私なんだ。
久しぶりに名前を呼ばれたからか妙に照れくさい。
「あんた誰なの?」
「僕は……四宮星空です。あなたと同じクラスの。」
せいあ?せいあって……。
「昨日復帰した人?」
「はい。昨日みんなの前で自己紹介したのに、もう忘れたんですか?」
「うん。興味ないから。」
真顔でそう答えた。
関わるつもりなかったし、関わるとも思ってなかったから。
「ふーん。体育、参加しないんですか?」
「しない。そんなこと言うために来たの?」
イヤホンを外して分かりやすく嫌な顔を見せる。
「先生が探して来いって言うから来たんです。僕も体が弱いから体育は参加できないので。なので一刻も早く戻ったほうが………」
「いちいちそんなこと言いに来たならさっさと戻って。」
「ダメです。さぼりはダメですよ。だから一緒に戻りましょ?」
「いやだって言ってるでしょ?ほっといて。」
「ほっとけないです。自分で動く気ないなら、僕が無理矢理連れていきますよ。」
「はあ!?あんたまじできもいよ!?自分が何言ってるか分かってる?」
さっきから言っている意味が分からない。
なんでここまで私にかまうのかが理解できない。
「そうですか。そこまで言うなら……。」
お?何を言い出す?
何も言われても私は行かないんだからとでも言うように彼をにらみつけた。
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