そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
唖然とするしかないソフィアをゼノンはしっかりと見つめながら、憤りと悔しさが混ざり合った声で吐き捨てる。
「仕方ない。武族にも魔族にも、自分と異なる力を恐れ、排除したがる過激な者が多いから」
どんなに冷たくされようとも、ゼノンが自分の父親であることを疑いすらしなかった。
信じきっていた世界を覆されたことに動揺はおさまらず、「そんな裏設定知らないわよ!」と声高に叫びたくなる。
「そして今、王である俺は光の魔力を持つ者を妃に迎え入れなくてならず、自分の花嫁に武族の女ではなく、ソフィア、お前を望んでいる」
言葉を無くしたままのソフィアの髪を指先で掬い上げ、ゼノンがそっと口付ける。
再び向けられた眼差しも、薄く笑った口元も、何もかもが美しく目が離せない。
「俺と結婚し、俺の子を成せ。そうすれば、望み通り俺のそばにいられる」
ぐっと顔が近づき、低い声音で囁かれ、ソフィアの頬が熱くなる。
ついさっきまで、彼が自分の父親でなかったことに大きくショックを受けていた。
それなのに、強引でいて甘く聞こえた求婚の言葉に気恥ずかしさを覚えれば、鼓動がうるさいほどに響き出す。