そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「そういうことはもう少し早めに仰ってくださいな」
「ごめん。すっかり忘れていたの。これから気をつけるわ」
ハンナに小言を言われながらミルドフキローアカデミーを出て、パンケーキ屋に向かって進んでいく。
その途中、露店の店先で髪飾りやネックレスを見ているクラウドとメレディスの姿を見つける。
ふたりがこちらに、そしてハンナの視界に彼らが映り込まないようにと気遣いながら、大急ぎでその場を通り過ぎていく。
クラウドが他の女性と一緒にいるのを見たら、ハンナが「姫様という婚約者がいながら」と不機嫌になってしまうだろう。
そして何より、クラウドと一緒にいるメレディスがあまり楽しそうに見えず、ここはそっとしておくのが一番だと判断したからだ。
やっとの思いで目的のパンケーキ屋に到着する。
甘い香りに誘われるままに店内へ入った瞬間、皿の割れる音が響き渡り、ソフィアは体をすくめた。
「こんな不味いもの食べられるか!」
続けて聞こえた怒鳴り声は聞き覚えのあるものだったため、ソフィアはハンナと顔を見合わせてから、恐る恐る店内へ視線を向ける。
テーブル席に座っているアルヴィンが、「すみません」と繰り返し謝っている店主に苛立ちの眼差しを突きつけている。