そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
同時に、コック服の男が気が付いたのを見てとり、マシューは「ゼノン様」と声をかけ、ゼノンと視線を交わす。
コック服の男は床にぺたりと座り込んだままぼんやりとした表情を浮かべていたが、「おい」と呼びかけてきたゼノンに視線を止めた瞬間、姿勢を正し、深く頭を下げた。
「お前、ソフィアに飲み物を渡すよう頼まれたと言っていたが、それは本当か?」
ゼノンに問われ、コック服の男はハッとしたように顔を上げる。
「いえ。違います。姫様ではございません。俺に指示したのは薄茶色の髪の武族の女と……アルヴィン様です」
薄茶色の髪の武族の女は、まさに先ほど警備団に連れて行かれたメレディスのことで、翻った言葉に生徒たちがざわつきだす。
そして、彼らの視線は最後に言い難そうに名前を付け加えられたアルヴィンへと向けられ、怯えるように距離を取る。
俯いていたアルヴィンは、やがて肩を揺らし、笑いながら顔を上げた。
狂気に満ちたその表情を見て、ソフィアはぞくりと背筋を震わせる。
「何もかも気に入らない。俺が半魔族の女に負けるなんて、あるはずない!」