そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

贈られたのは花が初めてではなく、実はその焼き菓子もなのだ。

しかもこれは、図書館の二階で会った時、テーブルの上に置かれていたのと同じ物。

後でマシューから聞いたのだが、あの日、図書館にソフィアが行くことを知ったゼノンに、話をしたいから連れて来るよう命じられていたらしいのだ。

そしてまんまとソフィアはマシューによって二階へ誘導され、ゼノンと対面させられることになる。

あの時、ひと言も勧められなかったが、テーブルの上の焼き菓子はソフィアのためにゼノンが用意させた物だったらしい。

図書館で会った翌日、それをマシューから聞いて、「あのお菓子、まだあるなら食べたいわ」とソフィアはお願いする。

すると、その日のうちに再びマシューが屋敷を訪ねてきて、食べきれないほどの焼き菓子を置いていったのだ。

「こんなにたくさん準備していたのに、食べろと勧めなかったのね」とソフィアは小さく笑みを浮かべて、父はもしかしたら不器用な人なのかもしれないと自分の中のゼノンのイメージを少しばかり改めたのだった。

抱えていた花瓶をベッド脇のサイドテーブルに置いて、花の位置を見栄えよく整えているハンナの様子をぼんやり眺めていたソフィアの隣に、マシューが並んだ。

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