シュクリ・エルムの涙◆
「ロガール、ツパイはラウルを追っていったんじゃないかしら? いなくなる前に「事の発端は私にもあるのです」って、アシュリーとリルヴィちゃんに言ったらしいから」

 全員が着いたダイニングで、タラお姉様が口火を切った。皆神妙な面持ちだ。けれどお姉様だけは、アッシュから聞いたのだろうツパおばちゃんの言葉から、ある程度は予測していたみたいだった。

「事の発端か……彼女には何の責務もないのだがね。やはりサリファの一件が、彼女をずっと(さいな)んできたのかも知れないな」

 サリファの一件がツパおばちゃんを……?

「どういう意味ですか? ロガールじじ様」

 アッシュが俯いてしまったじじ様の横顔に問う。タラお姉様以外の視線が探るように注がれて、じじ様は持ち上げた瞳で、お姉様に続きを託した。

「サリファっていうのは、あの二十年前と三十年前に虐殺事件を起こしたウェスティの母親、つまりラウルの前王のお妃ヨ。そして……それはツパイの叔母、ツパイの母親の妹だったの」

 ツパおばちゃんが言った「おば上」──それはまさしく「叔母上」だったんだ!


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