王子な兄(仮)に出会ったら過保護になってめっちゃ構ってきます
ー会いたい人ー
いきなり耳元で声がして一瞬、体が固まった。
後ろから手元の本をのぞき込んでいたのは、クフォードだった。
「あぁ、悪い悪い。驚かせたな」
そういいながら、さりげなくルージュの隣に座る。
「その本に出てくる男子生徒は、この国の国王だったお人だ。名はヴァイゼ・ランベルト。
…もう何百年も前の国王だからな、知っているものは少ない」
「そうだったんですね…」
「このお方の代でこの国はかなり発展したんだが…、それを忘れるなどとは嘆かわしいことだ」
クフォードは本を優しく撫でながら、偉大な国王が忘れさられていることを嘆く。