例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
「優奈!? どうしたの!?」



お母さんの焦ったような声が聞える。

涙を流すことしかできない私は、お母さんの言葉に反応できない。

泣き声が一層大きくなる。



「開けるわよ!」



お母さんが部屋に飛び込んでくる。

泣き崩れている私の姿を見つけると思い切り抱きしめた。

背中を撫でてくれるお母さんの手。

優しく温かい手。


だけど、それさえも拒絶したくなる。



「触らないでっ!」



私は抱きしめてくれるお母さんを突き飛ばした。

尻もちをつくお母さん。

お母さんの目には涙が浮かんでいた。


謝らなきゃ。

そう思ったのに体が、心が、言うことを聞いてくれない。



「優奈……っ、」

「やめて! 私の名前を呼ばないで! 近づかないで!」



そう叫んだのに。

お母さんは再び私を抱きしめる。

私と一緒に涙を流すお母さん。


やめて。

やめて。

やめて。


もう人を傷つけたくないんだよっ。

泣いている人見たくないんだよっ。

だけど、このままじゃお母さんのことまで傷つけちゃうから。
< 231 / 287 >

この作品をシェア

pagetop