アイドルと私。
「本当に?ありがとう!じゃあ着替えてくるから店内の方に行ってて?」

そう言って試着室に戻ってきて、改めて紗莉ちゃんに選んだ貰った服を見る。
やっぱりというかさすがというか。選んで貰った服は俺にピッタリで。俺の体のラインを綺麗に出してくれて、だけど強調はしてなくて。白いシャツは持ってるけど、ストライプ柄は持ってないし、このパンツもすごくフィットしていい。何より紗莉ちゃんに選んでくれたっていうのが、凄く嬉しい。

試着室から出ると紗莉ちゃんは、他の服を熱心に見ていて、本当に服が好きなんだと伝わってくる。

「紗莉ちゃんお待たせ?行こ?」

「あ、じゃあお会計…ってもうしてるの!?」

服を見てた隙を狙って、レジに持って行って、ショッピング袋に入れてもらったので、気付かれてしまった。

「え、なんで?私買うよ?」

「ううん、もう買ったから大丈夫。ご飯食べに行こ?」

女の子にお金を出して貰うのは気が引ける。だってそのメイクも、綺麗に巻かれた髪も、俺の為に用意してくれたんでしょ?早く起きて支度してくれたんでしょ?仕事の為って言われたらそれまでだけど、そこは俺の為って事にしとこ。それに紗莉ちゃんに選んで貰えただけで、嬉しいから。だから俺は自分で買った。
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