若頭の溺愛の檻から、逃げられない
監禁

君のキス



ーーーーー






「……目、覚めた?」




「………なんであなたが…」



「逃げようとしたんでしょ。」
 

それと敬語。なんて付け加えながら目の前に現れた真っ黒な目が爛々と光る。

ここはどこなんだろうか。

見れば真っ白でふかふかな、天蓋付きのベッドに寝ている私。その縁に腰をかける蒼さんは、スーツも脱がずにこちらを見ていた。

さらりとした前髪の黒髪がその真っ黒な目にかかる。


確か、私は美月のところに行こうとして、その扉を開けようとしたら…


気絶した…?
それでここに運ばれたの…?

周りのものは洋風なものばかりだし…前いた冬浪の拠点とは似ても似つかない。



「どこなの、ここ。」


「まずは俺の質問に答えて欲しいんだけど。」


まさか敬語を外して話す初めての会話がこれになるなんて思いもしなかった。窓から差し込むオレンジ色の光が彼の顔を照らす。


ここで返事を間違えてはいけない。


妹の話はしない方が良いだろう。ここでこの話をして、もし美月が冬浪に捕まっているのだとしたら美月にどんな危害が加わるか分からない。




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