若頭の溺愛の檻から、逃げられない

清田







「誰の?」




突然近くに聞こえた声にはっとする。


慌てて視線を戻すと

手前の方に座っている淡い青色の袴を着た男性がこちらに視線を向けていた。



片手は自分の金髪の癖っ毛の髪をいじり、もう片方の手には盃を持っている。



「え、えっと、藍川さんに。」



体中からばっと汗が噴き出るのが分かる。


緑色の袴の人の声は怒ってなかったのに、

少し視線を下げてしまう。



「あちゃ〜、藍川のか。」




そこで初めて自分の足が止まっていたことに理解した。


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