若頭の溺愛の檻から、逃げられない
接触



【美月side】


(何も見えない……。目隠しをつけられてる…?腕も拘束か何かされてて動かせない。)



私が龍夏の総長と殴り合いになったとき、後ろから近づいてきていた男に気づかず、そのまま気絶させられてしまった。


目が覚めたときには目隠しと拘束をされて座らされていた。



(まあ大体どういうことか、当てはついているけどね。)



途端、カツン、カツンという音とともに、誰かが近づいてくる気配がする。


人間、一つの感覚がないと不安になるものでちょっとだけ身体が強張っているのが自分でも分かる。


音が止まり、"誰か"が目の前まで来た。




「うっ……」




急に目に光が入って、目の前の"男"が見えた。

 
真っ黒な目を細めて、形の良い唇が開く。





「初めまして……ではないよね。安西美月ちゃん。」




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