Graduation~3年後の「これって・・・」~
「あ、よかった、間に合った。」


と息を弾ませ、駆けて来る岡野くんの姿が。どうしたのと、視線を向けた私に


「さっき聞くの忘れちゃって。」


「えっ?」


「君のLINEだよ。そうじゃないとさっきの写真、送れないし。」


「そ、そうだね。」


岡野くんの言葉に、私はスマホを取り出す。操作を終えて、向かい合った私に


「じゃ、また連絡するから。」


「えっ?」


「入学式、一緒に行こうよ。」


当たり前のように言われて、思わず彼の顔を見つめてしまう。


「高校入学の時は同中から10名一緒だったけど、今度はさすがに同じ大学の同じ学部って、まずいないだろうから。」


「えっ・・・。」


「岡野くんの行く大学って・・・。」


「東明大学社会学部だよ。」


それは紛れもなく私が4月から進学する大学と学部。その言葉に、私だけでなく、美奈まで固まっている。


「知らなかった?まぁ、そういうことなんで、またよろしくね、サッチャン。」


サ、サッチャン・・・?今までそんな呼ばれ方したこと、1度もなかった。それがいきなり・・・。


茫然とする私に、サッと手を挙げて、彼は友達の待ってる方にまた駆けて行った。


そして立ち尽くす私と美奈。


「参ったね。」


ようやく美奈が声を上げる。


「えっ?」


「岡野っちがここまでしたたかな策士だったなんて。」


「・・・。」


「全部ここまで計算ずくだったんだよ。紗月に全然興味のないそぶりを続けて、さっきもサッと立ち去って、それがいきなり戻って来て、連絡先聞いてきて、隠して来たまさかの同大進学をサプライズで明らかにして、最後は名前呼びだよ。」


「うん・・・。」


「でもよかったじゃない、きっと大事にしてくれるよ、彼なら。ね、サッチャン。」


「ちょ、ちょっと、美奈・・・。」


美奈にからかわれて、私は思わず顔を赤らめる。


3年前の入学式、またしても彼とクラスが一緒になった時


(これって・・・ひょっとして運命なの・・・かな?)


って、正直思った。でも、それから私たちの仲は何の進展もなくて・・・。


そして3年間の「これって・・・。」に終止符が打たれるかと思われた今日。歯車は止まることはなく、更に大きく回り始める・・・そんな予感が生まれることになった。


(連絡待ってるから。これからもよろしくね、哲哉くん・・・。)


そんなことを思った私の胸は、キュンとときめいた。



END
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