愛しの三味線侍
「うん。私も好き」


頷くと、ボッと顔が熱くなる。


ホッとしたようなため息を吐き出して、一弘が微笑んだ。


「よかった」


そう言うと同時に顔が近づいてきた。


咄嗟に目を閉じる。


フワリと唇に一瞬感じる一弘の唇の柔らかさ。


彼との初めてのキスはほんのりコーヒーの香りがするビターな大人の味がした。


唇が離れて目を開けると、一弘はまるで子供みたいに微笑んで、口の奥から八重歯が覗いていた。


それにつられてこちらも笑顔になる。


ちょっと変わった三味線侍が、私に笑顔を届けてくれた。



END
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