クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜

修哉さんは?
と探すと珍しく窓辺に立って夜景を観ながらビールを飲んでいた。

分かりにくいけど、緊張して喉が渇いたのかな?
なんだかかわいく見える。

後ろから近寄りそっと背中に寄り添ってみる。

「緊張溶けましたか?」

「優しそうなお母さんで良かったよ。
さすがに俺も気疲れした。」
笑いながらビールをクビッと飲む。

「お母さん思いのほか嬉しそうでした。」
私も微笑む。

「ありがとうございます。
言いにくい話しとか全部話してくれて。」

クルッと修哉さんがこっちを向いて私を抱き上げる。
キャッとおもわず驚の声が出てしまう。

「小春はこれでもう、俺のものだ。」

「…修哉さんは、私のものですか?」

「もちろんだよ。もう帰るなんて言うなよ。
ここが小春の帰る場所だ。」

そうか。そうなんだ。
そう言う事なんだ。
やっと腑に落ちた気持ちになる。

私は修哉さんのもので、修哉さんは私のもの。だから甘えてもいいし、遠慮しないでいいんだ。

「やっと分かった気がします。 

不束ものですが、これからもよろしくお願いします。」

「逆に、今まで俺をなんだと思ってたんだ?」
怖い顔で睨まれるけど、
修哉さんは怖いとは思わない。
ふふっと笑って抱きしめ返す。

「私、誰かと付き合うの初めてなんです。
正直言って、どうしていいか分からないのでお手柔らかにお願いします。」

「俺も、ちゃんと人と向き合うのは初めてだから暴走したら止めてくれ。」

「それは…どう言う事ですか???」

「小春、一つ教えてだけあげる。

そう言う事は聞いちゃダメ。」

恋愛初心者にはどうやら理解出来ない事ばかり。
でも、修哉さんが嬉しそうだしいい事にしよう。

笑いながらしばらく2人抱き合っていた。

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