クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
「綺麗。」
それだけ言って窓に近づく。
しばらく放心状態で、夜景を観ていると修哉が後ろからそっと抱きしめた。
心臓がドキンっと跳ねて我に帰る。
「今日は、何事もなくて良かった。小春の事が心配で本当は仕事どころじゃ無かった」
はぁー。と修哉は深いため息を吐いて小春をぎゅっと抱きしめる。
先輩に心配させてしまってるのは重々分かってはいたけど、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「心配かけてごめんなさい。
…今日からしばらくお世話になります。」
「また、他人行儀だ。」
強引に身体を向き合わせにして、先輩が言う。
「小春のいろいろが解決するまで、我慢するつもりだけど、俺だって健全な男だからキスぐらいは好きにさせてもらうよ。」
そう言って抱き上げられたと思ったら、
急激に深いキスをした。
「あっ…。」
高鳴る鼓動と押し寄せる快楽。
息をつく間も無いほど
舌が口内を自由に動き回る。
息をしようと首を横に振る。逃さないとばかりにまた深いキスをしてくる。
ただただ、小春は修哉の肩にしがみ付いて懸命に答えるしか無かった。
何度か繰り返され、
息が乱れ頭がボーっとしてくる。
「ごめん。やり過ぎた」
そう言ってやっと顔を離す。
小春はしばらく抱き上げられたまま修哉の肩に顔を埋めて、息が整うのを待つしか無かった。
修哉は小春の頭を優しく撫ぜながら、冷静を取り戻していく。
「嫌だった?」
修哉がそっと問う。
小春は横に首を振る。
「小春がここに居ることをもっと実感したかったんだ」
そう言って、小春をソファまで連れて行き座らせると、顔を覗き込む様に膝をついて小春の手を取る。
恥ずかしくて小春は俯く。
「小春が何より大切なんだ。出来れば、許されるならば、このままずっと一緒にいて欲しい。」
そっと修哉と目を合わすと、今まで見た事ないくらいの笑顔だった。
つられて小春も照れ笑いし、握られた手をぎゅっと握り返す。
「こんな私でよかったら」
と小さく呟いた。
「良かった」
修哉は一言そう囁いて、小春の手の甲にキスをした。