クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
黒縁メガネの男はAスタジオの扉に到着すると、重たそうに防音扉を両手で押し開け中に声をかける。
「遅くなって申し訳ありません。
本人、今連れて来ましたー。」
ペコリの中の人達に頭を下げる。
中に居る2、3人が一斉に立ち上がりこちらを見る。
「後、お弁当屋さんが足りないお弁当を持って来てくれたみたいですよ。」
軽い感じで、中に居るデレクターらしき人に話しかける。
「あっ。お弁当屋さん。ありがとうございます。注文忘れかどっちか分からないんだけど、足らなくて困ってたんだよね〜。
良かった。早く持って来てくれて。
おいくらですか?」
にこやかに恰幅のいい顎髭の男が近づいてくる。
ほっとして、少し頬の緊張を解く。
良かった。ご立腹じゃないみたい。
「こちら側で忘れてしまったみたいで、申し訳ありませんでした。
今回はお代は結構です。
あと、謝罪と言っては何ですが、唐揚げBOXを1つお付けしましたので、良かったらお召し上がり下さい。」
丁寧に頭を下げて謝った。
「ありがとう。
へぇ。こんな可愛い子がお弁当屋さんにいたんだ!!
君いくつ?
高校生じゃないよね⁉︎」
軽いノリにびっくりして、思わず一歩後ろに下がりかけ、さっきから視線の強い男がまだ後ろに居る事にまた、慌てる。
「あっ。いえ。学生ではありません…。」
後ろの男の視線が居た堪れなくなり、声が小さくなる。
「えっと。
では、失礼します。」
早く逃げ出したい衝動に駆られ、
まだ話したそうな顎髭のデレクターにペコリとおじきをして、重い扉を押さえて立つ後ろの男の前をうつむきながら足速に通り過ぎる。
廊下に出て、一息つく間も無く
エレベーターに向かって小走りする。
彼女が自分の前を通り過ぎる時、
男はとっさに左手の薬指を見る。
指輪はしてない。
結婚してないのか⁉︎
でも、苗字が違うのは何故だ?
落ち着きを取り戻していた心臓がまた、
急に心拍数を上げ、追いかけ問いただしたい衝動にかられる。
一寸遅れて男は走り出す。
今、彼女を見失ってはいけない。
見失う訳にはいかない。
はやる気持ちを抑えてひたすら彼女の後を追う。
「遅くなって申し訳ありません。
本人、今連れて来ましたー。」
ペコリの中の人達に頭を下げる。
中に居る2、3人が一斉に立ち上がりこちらを見る。
「後、お弁当屋さんが足りないお弁当を持って来てくれたみたいですよ。」
軽い感じで、中に居るデレクターらしき人に話しかける。
「あっ。お弁当屋さん。ありがとうございます。注文忘れかどっちか分からないんだけど、足らなくて困ってたんだよね〜。
良かった。早く持って来てくれて。
おいくらですか?」
にこやかに恰幅のいい顎髭の男が近づいてくる。
ほっとして、少し頬の緊張を解く。
良かった。ご立腹じゃないみたい。
「こちら側で忘れてしまったみたいで、申し訳ありませんでした。
今回はお代は結構です。
あと、謝罪と言っては何ですが、唐揚げBOXを1つお付けしましたので、良かったらお召し上がり下さい。」
丁寧に頭を下げて謝った。
「ありがとう。
へぇ。こんな可愛い子がお弁当屋さんにいたんだ!!
君いくつ?
高校生じゃないよね⁉︎」
軽いノリにびっくりして、思わず一歩後ろに下がりかけ、さっきから視線の強い男がまだ後ろに居る事にまた、慌てる。
「あっ。いえ。学生ではありません…。」
後ろの男の視線が居た堪れなくなり、声が小さくなる。
「えっと。
では、失礼します。」
早く逃げ出したい衝動に駆られ、
まだ話したそうな顎髭のデレクターにペコリとおじきをして、重い扉を押さえて立つ後ろの男の前をうつむきながら足速に通り過ぎる。
廊下に出て、一息つく間も無く
エレベーターに向かって小走りする。
彼女が自分の前を通り過ぎる時、
男はとっさに左手の薬指を見る。
指輪はしてない。
結婚してないのか⁉︎
でも、苗字が違うのは何故だ?
落ち着きを取り戻していた心臓がまた、
急に心拍数を上げ、追いかけ問いただしたい衝動にかられる。
一寸遅れて男は走り出す。
今、彼女を見失ってはいけない。
見失う訳にはいかない。
はやる気持ちを抑えてひたすら彼女の後を追う。