クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
修哉さんの家に着いて、食料品を冷蔵庫に入れてホッとひと息つく。

「コーヒーでも入れましょうか?」
小春は気持ちを整えようと思い言う。

「それより。
ぎゅっとしてくれるんじゃ無いの?」

さっきから壁に寄りかかって小春の動きを観察してた修哉が言う。

小春は途端に顔を真っ赤にする。

ちょこちょこと修哉に近づいて行って見上げる。
「いくらでもどうぞ。」
修哉は嬉しそうに笑う。

意を決してぎゅっと抱きついてみる。
心蔵が口から飛び出そうなくらいドキドキする。
自分から言ったものの、なんて大胆な事を言ってしまったんだ私。

居た堪れなくなってそっと離れようとする。

「それだけ?
物足りないんだけど。」

そう言って、逆に小春をぎゅっと抱きしめ返してきた。
愛おしいと思う気持ちで、胸が苦しくなる。
この気持ちをどうしたら伝えられるんだろう。

「小春、愛してる。
ずっとこの先もこの気持ちは変わらない。」
優しく顎を上げられて軽く唇が重なる。
「これはさっきのペナルティ分。」

「次は俺の気持ち。」
何度も角度を変えて唇が重なる。
溺れるほどの深いキス。気持ちが伝わる。
2度と離れたく無い。ずっと一緒にいられたら。
首筋に息がかかって反射的にビクッとする。

「ごめん。やり過ぎた」
パッと修哉が離れる。

小春は首を横に振りながらぎゅっと抱きつく。
「全然大丈夫です。
ごめんなさい。私が臆病だからきっと、修哉さんをいっぱい我慢させてますよね。」

「違う。そうじゃない。小春を怖がらせたくないし、無理強いさせたくない。奴と一緒になりたくないんだ。」

「全然違います。
修哉さんを怖いと思ってないし、すっと側にいたいんです。ただ、どうしたらいいか分からないだけで…」
抱きついたまま、修哉を見上げる。

「あんまり煽るな。
いろんな事が解決するまでキス以上はしないって決めたんだ。
今、繋がっていたいのは心であって体じゃない。小春が大切だから。

俺だって。小春をこれ以上傷付けたらと思うと怖いんだ。」

優しく小春を剥がすと「上で泳いでくるから、先に寝てな。」

最上階にあると言うジムへ行ってしまった。
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