クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
泉の指定の店に行く。

なんでジャケットが必要なんだ?と思ったが、ついた所は高級ラウンジ。
なんでこんなとこにいるんだよ。悪態吐きながらも階段を降りる。

「いらっしゃいませ。」
入口の黒服に頭を下げられ、泉の名前を告げる、
奥からこの店のママらしき女が来る。
「ようこそ、いらっしゃいませ。
泉先生のお知り合いだとか。どうぞ、こちらになります。」
にこやかに接待され、修哉は顔を引きつらせながらも堪えて微笑む。

申し訳ないが、今や修哉にとって小春以外は区別も付かないくらい女は同じに見える。
煌びやかな世界も虚しいだけのセピア色だ。

「泉先生。お友達がお見えになりましたよ。
先生に負けない男前でびっくりしました。」

テーブルにつく2〜3人の女が一斉にこっちに向く。

やめてくれ。と、修哉は心底思いながら席に着く。

「よお。久しぶりだな。イケメン。元気そうでなにより」
上機嫌に泉が手を振って修哉を呼ぶ。

「なんでこんなとこに居るんだよ。悪いけど、仕事の話なんで席外してもらって。」

「なんだよ。人が仕事終わりに楽しんでたのに。怖い顔するなよ。」

「お兄さん、お飲み物何か作りましょうか?」
すかさず真っ赤なドレスを着た女が接客しようと修哉にお酒を勧める。

「いえ。話が終わったらすぐ帰るので結構です。」
冷たくあしらい、退席をお願いする。

「お話が終わったらまた、呼んでくださいね。」と、念を押し3人は席を離れていった。

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