財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
「政略結婚ってわけでも――」

「だって、名雪流のために結婚するんなら、政略結婚よ。紗世の気持ちを無視されるんだもの。やだ、悲しくなってきちゃった」

 侑奈の瞳が潤み始めて、私は弱った。

「ごめん。こんな席に変な話をしちゃって」

「もうっ! なに言ってるのよ! 話してくれていいんだよ。私の方こそごめん。紗世が可哀想すぎて……」

「好きな人にも手に届かないのが決定だしね」

 京極さんのことを思い出して、重いため息が漏れる。

「お兄さんの親友だった京極さんだっけ」

「代官山で飲んだ日あったでしょ? 帰りに小玉奈緒美さんと一緒にいた男性が京極さんなの」

「ええっ? あのめちゃくちゃかっこよかった人?」

 驚きを隠せない侑奈にコクッと頷き、シャンパンを口にする。そこへ加茂君が戻ってきた。

「かっこよかった人って、誰のこと?」

「こっちの話よ。雅則、シャンパンふたつ持ってきて」

「はいはい。女の話に入るなってね」
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