あの日の夢をつかまえて

みぃくんと付き合い始めたのは、2年前。

私達が26歳の時だった。



偶然乗った電車で。

ふと前の座席に座っている男性を見ると、見覚えがあると思った。



『澤田くん?』



声をかけるとみぃくんは驚いた表情で私を見てから、
『貴島さん、久しぶり』
と、笑ってくれた。



『高校の卒業式以来だよね?』

『そうだよ、何年ぶりかな?元気だった?』



懐かしくて。

たくさん話して。

気づいたら私が降りる駅に着いていた。



『じゃあ、私はここで』



名残惜しい気持ちでそう告げて電車を降りると、
『あの、もっと話したいから……』
と、みぃくんも電車を降りた。

扉が閉まり、次の駅へと走って行く電車。



『……もう少しだけ、一緒にいませんか?』



みぃくんの顔が赤く見えた気がした。

そのことが嬉しくて。

胸がドキドキした。



私達は駅のホームのベンチに座って、次の電車が来るまでおしゃべりを楽しんだ。


< 11 / 51 >

この作品をシェア

pagetop