あの日の夢をつかまえて
第2章

第1話


みぃくんと付き合う少し前。

私は珍しく開いた新聞紙の見出しで。

みぃくんが将棋棋士であることを知った。



【◯◯市出身、将棋棋士澤田光臣四段が対局を振り返る】



将棋界の注目若手棋士との対局を振り返った、みぃくんのインタビュー記事だった。

その若手棋士は将棋棋士になるための養成機関である「奨励会」に入会後、めきめきと勝ち進んで、史上何番目かのはやさで四段に昇段したと紹介されていた。



「四段って何?どういうこと?」



そばにいた父に尋ねると、
「将棋には段位があるんだよ。一番上が九段。四段っていうのは将棋の対局をしてお金が貰える、プロとして認められる段だな」
と、教えてくれた。



「四段になるにはなぁ、奨励会の『三段リーグ』っていう戦いで上位2名の内に入んなきゃいけなくてさ。それがまた厳しい戦いなんだよなぁ」

「そうなの?」

「確か年齢制限があったはず。26歳だっけ?それまでに四段になれなかったら、退会」

「退会!?」

< 15 / 51 >

この作品をシェア

pagetop