あの日の夢をつかまえて
「あ、はいっ!僕、西村っていいます。西村翔太です」
丁寧に頭を下げる西村さんを見て、私も慌ててお辞儀をした。
(……ん?西村?どこかで聞いたことがあるような?)
「あ!」
思わず大きな声を出してしまった。
西村さんも驚いている。
すみません、なんでもないです、なんてもごもご言って誤魔化す私。
(この人がみぃくんの最後の対局相手だ)
西村さんは、
「あの、もしかして香夜子さん……、ですか?」
と、恐る恐る尋ねてきた。
名前を呼ばれてきょとんとしてしまう。
そんな私を見て、今度は西村さんが慌てた。
「あの、僕、澤田さんによく香夜子さんのお話を聞いていて」
「そうなんですか?私の話?」
「はい。優しい人なんだって、僕にノロケていました」
「え!?ノロケたりするんですね、澤田さん」
とか言いつつ、心の中での小躍りが止まらない私。