朝、キスして。

瞬は、宿泊研修のときに少し話した程度のクラスメイト。

何か話題はないかと探して思い浮かぶのは、


「瞬と有咲は幼なじみなんだよね。いつから好きだったの?」


有咲のことしかない。


2人が付き合っていることは、有咲から聞いた。

最初は、いつの間にそんなことになっていたの!?と驚いた。

それまで有咲は瞬を遠ざけていると思っていたから。


でも思い返せば、心あたりはたくさんある。


ガードが固いと言われる瞬が有咲にだけはやたら構うし、遠ざけているわりに有咲は瞬を気にしている様子だったし。


「昔からかな。……でも、気づいたのはわりと最近」

「へぇ。自覚がなかったってこと?」

「まあそんなとこ。そのせいでかなり遠回りした」


瞬は小さく苦笑いを見せた。

後悔とも懐古とも取れない微妙な表情。……珍しい。


“遠回り”に何かしらの深い意味があることは、その表情から簡単に読み取れる。


「今つき合えてるならいいんじゃない?」

「前向きに捉えると、そうなるな」


深入りも深掘りもするつもりはないけれど、なんとなく励ましの言葉をかけずにはいられなかった。

結果オーライという言葉に、瞬はやっぱり微妙な表情をちらつかせた。

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