朝、キスして。
「最近、バイト先によく来るお客さんで、同い年くらいの男子なんだけど……。あ、でも、本当につけられてたかわからないし、たまたま帰る方向が一緒だっただけかもしれない」
「そ、そうなんだ……。何もなくてよかったね」
「うん」
なんとか言葉が出たことにほっとする。
私、今……何を思った?
優雨ちゃんが怖い思いをして、それを瞬が助けた。
無事でよかったって、そう思うのに。
なんで心がざわつくの?
……最低だ。
「でも、まだ安心できないから……」
心の醜さを上塗りしようと、私の口から出てくるのは──
「しばらく瞬が彼氏のふりしてあげれば?」
心にもない言葉。