朝、キスして。
図書委員の仕事が終わって教室に戻ると、瞬が自分の席に突っ伏して眠っていた。
勉強している最中だったのか机の上には問題集が広がっていて、右手はシャーペンを持っている。
無防備な寝顔にドクンと胸が動く。
確かめてみようかな。
これが恋なのかわかるかもしれない。
もし恋だったら、有咲に罪の意識を持ちながら生きて、もう二度とこの感情を表に出さない。
いつか消さなきゃいけないんだ。
このまま抱え続けるくらいなら……。
私の頭のなかには悪魔が住んでいるんじゃないかと思う。
じゃなきゃこんな考えに至らない。
私は、眠る瞬の頬にキスをした。
──ううん。正確には、キスを“しようと思った”。
できなかった。
直前で思いとどまって、やめた。
こんな形で有咲を裏切れない。
有咲を裏切らないとわからない感情なら、もう一生わからなくていい。
私は瞬が起きるより早く教室を後にした。