最初で最後の恋をおしえて
しばらくして羽澄が口を開く。
「ごめん。困らせた」
紬希は力なく首を横に振る。
「嫌じゃなかったら、その小学生の子たちと同じ行動を俺としてくれないかな。そしたら、多少は彼らの気持ちがわかると思うんだ」
小学生のかわいい恋。彼らと同じ行動をしたら、彼らの気持ちがわかるのだろうか。
親戚の子の話を聞いているだけでも幸せになれたあの気持ちを、誰かと共有できたら、もっと幸せを感じられるのかもしれない。
「わかりました。やってみます」
了承の言葉を伝えると、羽澄は晴れやかな声で言った。
「やった。良かった。それなら今度こそおしえてくれるかな。連絡先」
羽澄はスマホをテーブルに出し、紬希に向ける。
『今度こそ』というのは、昨晩聞かれたのを断ったからだ。
「羽澄さん。間違ってます」
「え?」
指摘をすると、羽澄は困惑顔。
「簡単に聞いてはダメです。連絡先交換は一大イベントなんですから!」
握り拳まで作る紬希に、羽澄は目を細めて微笑んだ。
結局は連絡先を知らないと今後不便だという大人の事情で、早々に連絡先は交換された。そのほかの行動のレクチャーをよろしくという話でまとまった。