もう、キスだけじゃ足んない。


「これ、外してほしい?」

「は、外してほしい……」


ふーん?


さっきはあんなにため息をついていたのに。

私の言葉だけで、すぐにうれしそうに声を弾ませる遥に胸が高鳴る。


「ん、でもだーめ」

「え」


「まだ外さないよ」

「な、なんで……っ」


「だってさ、」

「っ、なに、して……っ」


ゆっくりゆっくり外されていくシャツのボタン。

はずかしいよ……っ。


「はずかしい?でもごめん、我慢して」

「っ、あ、ぅ……っ」


ぜんぜん悪いって思ってない……!

ぎゅうっと抱きしめられたまま、首から鎖骨、胸元へと唇がなぞっていく。


「かわいいよ。
いつもの何倍以上も大人っぽくて、えろくて。
最初見た瞬間、かわいすぎて死ぬかと思った」


「っ!はる、か……っ、」


ちゅうっと首に吸いつかれて、体がびくんと跳ねるけれど、


「……は、かわいい、」


なだめるように全身をなでられたまま、遥はそのままいくつもの赤い花を散らしていく。


「胡桃は、俺のだろ」

「っ……」


「カメラマンとかスタッフの中には男もいただろうし?なによりこんなかわいい胡桃の姿が世に出回るって思ったら、めちゃくちゃ嫉妬する」


何度も口づけられた体は、燃えそうなど熱くて。

滲む視界の中で見えたその瞳には、とんでもない熱が渦巻いている気がした。


「撮影がんばったんだし、ごほうびはあげる」

「っ、ん……」


軽くふれるだけのキス。

でもそのまま、唇はふれたまま。


「けど、胡桃のぜんぶが俺のだって実感したいから……」


─────覚悟しろよ。


「えっ……」


前にも聞いたこのセリフ。

たしか、一昨日の図書室で。


遥の「覚悟しろよ」は……。


「っ、ま、待って……」


頭の中でカンカンカンって警報がなる。

身をよじる私に、遥はますます目尻を下げる。


「ん、えらいえらい。
ちゃんと覚えてたね」


「あのっ、えっと、」


「うん。けど、改めておさらいな?」


「俺は焦らしていじめるより、胡桃が喜ぶことして、とろとろになるまで甘やかすほうが好きだし、」

「俺でこんな表情なってて、俺しかこんな姿見れないって思ったら、めちゃくちゃ俺のものって感じがするから」


「この間よりも、めちゃくちゃとかしてあげるから。がんばれよ、胡桃」
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