もう、キスだけじゃ足んない。


「はる、か……?」

「あー……、もう……」


どうしたの……?


はぁ……っとため息をついたと思うと、そっと私に覆いかぶさってきて、ぎゅうっと抱きしめられた。


「……あの雑誌さ、男にめちゃめちゃ人気あるんだよ」


「そう、なの……?」


「ん。載ってるのほぼ女だし、べつにコスプレ好きじゃないやつでも見るくらい有名なやつでさ」

「アニメのとかだったら、顔もキャラに寄せてメイクするし、誰だかわかんない感じになるとは思う。けどこう言うのはさ、もう、完全にそうじゃん……」


どこか拗ねたような声。

肩にぐりぐり顔を押しつけられて、こんな体勢なのに、ポカンとする私。


「ちなみにだけど、指輪はちゃんとしてた?」

「う、うん……してたよ?」


南津海さんにも、したままでいいって言われたし。


「南津海さんって、だれ?」

「えっと、清見さんにモデル探すように頼んできたスタイリストの人」


「男?」


「女の人だよ……?」


「ん、ならいい」


そう言って、また私をより強く抱きしめる。


「あの、遥……」

「うん?」


「私、も……」

「私も?」


ぎゅって、したいよ……。

いつもならぜったいに言えない。


メールでもやりとりしてたけれど、遥を目の前にしたらもう……。


たりない。

私だって、ずっと遥にふれたかった。
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