最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
雪崩のように押し寄せてくる感情は、これまで恋愛をまともにしてこなかった反動だろうか。

『――社長? どうかなさいましたか?』

執務室に戻ってきた秘書が、口もとを押さえて絶望的な顔をする俺を見て眉をひそめる。

『このあと、社内で会議だったか。飛ばせるか』

『……は?』

秘書はノートPC片手に凍り付く。俺は席を立ち、コート掛けにあったジャケットを手にした。

『所用ができた。すまないが、調整を頼む』

『しゃ、社長!?』

俺ははやる気持ちを抑え執務室を飛び出すと、地下駐車場に向かった。

ハイヤーの運転手は俺の姿を見てすぐに後部座席を開けてくれる。

秘書を伴っていない姿を見て、業務外だと悟ったのか、なにも言わずに車を出してくれた。



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