最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
第七章 とっておきの贈り物をあなたと私に
あれから二カ月が経つが、志遠さんは毎週欠かさず連絡をくれる。

季節は十二月、日本もイギリスも真冬だ。とくに向こうは日没が早く、十六時頃には日が落ちてしまうらしい。

「もう二カ月も経つんですね」

『待ちくたびれたか?』

「いえ。驚いています。もっと早く関係が終わるんじゃないかと……」

『ふざけるな。どうして君は俺のことだけ信じない?』

苛立った声が受話口から響いてくる。

土曜日の午前〇時。イギリスはまだ日中で志遠さんは仕事中らしいが、合間を縫って連絡をくれた。

「そういえば、警察から連絡があって。山内さんのことで」

『ああ。あの詐欺師か』

「協力はしましたけど、被害届は出さないことに決めました」

私の男性を見る目がなかったことは確かなので、手痛い授業料ということで、自分の中で整理をつけた。

それに、英国騎士の妻が結婚詐欺に遭っていただなんて、公にしない方がいいと思ったのだ。

『俺に遠慮する必要はない。陽芽が働いて稼いだ金だろう。搾取されて黙っているなんて――』

「でも、変に恨みとか買いたくないですし。そんなことに気持ちと時間を割くくらいなら、清算してすっきりしようかなと」

これも本音。いつまでも引きずるくらいなら、もっと建設的なことに気持ちと時間を使った方がいい。

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