最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「クリスマスだからって、ワインなんて飲むなよ」

「さすがにそれくらいはわかります……」

「ひとりぼっちのクリスマスを過ごさせて、悪い」

急に志遠さんがしおらしくなった。懺悔でもするかのように、私の頭をきゅっと抱きしめ、額にキスを落とす。

「会えたじゃありませんか。それにほら――」

私は下腹部をちょんと指差す。

「ひとりじゃないです」

笑って答えると、志遠さんは泣きそうな顔をして膝をついた。

「志遠さん?」

「お母さんを、よろしく頼む」

そうささやいて、私のお腹に優しくキスを落とす。

〇歳に満たないうちから私のお世話を任されてしまったこの子は、なんとなく男の子なんじゃないかと思った。

志遠さんとそっくりな、紳士で、過保護な男の子が、私のお腹にもうひとりいる気がした。



年が明けて、私は志遠さんが用意してくれたメゾネットタイプの低層マンションに移り住んだ。

志遠さんは私の移住に合わせて休みを取り帰国してくれた。今日から三日間、新しい家でふたり暮らしをする。

短い間ではあるが、そばにいられるのは久しぶりなので、私たちにとっては貴重な三日間だ。

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