最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「俺、思うんですよ。やっぱりシオンのそばにいるのは、あなたじゃなくて、エレノア様がいい。シオンを誘惑するなと、警告しましたよね」

肩越しに振り向いて、鋭い眼差しをこちらに向けた。

「あなたとハルくんがお金に不自由しないよう、最大限支援しますから。シオンのことだけあきらめてください。悪い話じゃないはずです」

それだけ言い残し、ダリルは家を出て行った。

なにも言い返せなかった……晴を抱いたまま私はその場に立ち尽くす。

しばらくすると頼子さんが買い物から帰ってきて、ダイニングテーブルに並んだプレゼントボックスを見て目を剥いた。

「どうされたんですか!?」

「……志遠さんのお友達から、いただいて」

「イギリスから送られてきたんですか? まぁすごい!」

プレゼントボックスの中身は晴のおもちゃだった。外国製のカラフルなデザイン。まだ発達しきっていない晴の視力にはぴったりで、興味深そうにおもちゃを見つめている。

「晴坊ちゃん、よかったですね~」

頼子さんが晴におもちゃを渡し、遊んであげる。

私は札束の入った紙袋を仏壇の奥に隠し、ふたりにはバレないように深く息をついた。



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