最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「最近はな。実家にいた頃は、直接家に来てもらうことが多かった」

家に来るってどういうこと? この量を丸々家に運び込むのだろうか。

もはや理解ができないので、いちいち驚くのはやめようと心に決める。

やがてヘアメイクスタッフがやってきて、私をこれでもかというほど飾り立てた。

大人びたパープルとブラウンを使ってアイメイクを施し、アクセントカラーにゴールドを置く。ワンピースに配色を合わせてくれたみたいだ。

「陽芽は二十七歳と言っていたか。年相応に見えるようになったな」

志遠さんが能天気な感想を述べる。

「……今まで何歳に見えていたんです?」

彼がすっと目を逸らした。

たしかにメイクも薄いし、胸も小さいし、身長もそこまで大きくはないから、子どもっぽく見えていたに違いないけれど。

まして、彼はずっとイギリスにいる。ただでさえ日本人は幼く見えるというし、私が幼稚に見えてもおかしくはない。

「きっと文化的なものですよね」

「……どんなポジティブ解釈をした?」

志遠さんがあきれたように息をつく。

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